わたしと本【1】ブックトークボランティア「本のとびら」代表 荒谷裕子さん
更新日:2023年10月16日
まどかぴあ図書館を拠点に、小中学校などでブックトークを実施しているボランティア「本のとびら」代表の荒谷さんに、心に残っている本を教えてもらいました。
ブックトークとは、テーマに沿って順序良く本を紹介する手法のこと。
ブックトークボランティア「本のとびら」をはじめ、読書ボランティアについて、詳しくはこちらをご覧ください。
『ぐりとぐらのかいすいよく』
なかがわりえこ/作 やまわきゆりこ/絵(福音館書店)
私の手元には子どものころ幼稚園で配本された「月刊こどものとも」が数冊残っています。文章の中から自分の名前の「ゆ・う・こ」を見つけて○で囲っている絵本もあり、小さなころから字に興味がある子どもだったようです。
その中で今回ご紹介するのは『ぐりとぐらのかいすいよく』。ぐりとぐらがうみぼうずに教えてもらった泳ぎ方、くらげ・およぎ、くじら・およぎ、イルカ・ジャンプは、近所のプールで真似をしていたことを今でもはっきりと覚えています。
一番好きだったのは、ぐりとぐらがうすぐらい岩穴へ真珠を見つけに行く場面。
岩穴に入っていくと「なみのくだけるおとがひびきます。ずっとおくに、あおじろいひかりがみえてきました。それは、みごとなおおつぶのしんじゅでした。」
私の中では真珠は青白い光を放ってまぶしく輝いていますが実際にはそれほどまぶしくは描かれていません。想像力を足して絵本の絵を見ていたにちがいありません。
本を開くと、実際には行くことのできない美しい場所、こわいところ、不思議な世界をひとっ飛びで訪ねることができます。また、子ども達は絵本を読んでもらうことで、より深く非日常の世界を楽しみ、満足して戻ってくることができます。
「本のとびら」では小学校高学年から中学生を対象に、テーマに沿った色々なジャンルの本を紹介するブックトークを行っています。
これからも本の中にあるワクワク・ドキドキ・ハラハラな世界を楽しく伝えていきたいと思います。
『あひる』
石川えりこ/著(くもん出版)
私はブックトークや読み聞かせの時に日本の昔話の語りをすることがあります。
特に、福岡の昔話には知っている地名や方言などが出てくるので、聞き手の子ども達は身近さを感じながらお話の世界に入ってきてくれます。
大野城市には「ぼっかけ」という郷土料理が伝わっています。鶏ガラ出汁に鶏肉を入れて煮て、甘めの醤油で味をつけ、それをご飯にぶっかけて食べることから「ぼっかけ」と呼ばれているそうです。学校給食のメニューにもなっているので、大野城市の子ども達にとっては身近なメニューの1つです。
私の住んでいる地区に生まれた頃から住んでいる方々からもこんな話を聞きました。
「子どもの頃、家にお客さんが来ると、飼っていた鶏を絞めて、その鶏がらや肉を使ってぼっかけを作っていた。絞めた鶏の羽をむしるのが子どもの役割で、嫌だった。でもたまに食べるぼっかけは楽しみの1つだった。」
今回、紹介する絵本『あひる』にも、福岡県の昔の暮らしが描かれており、同じような出来事が出てきます。夕飯に食べたお肉はあのあひるじゃなかった、とほっとする弟と、本当のことを察しているお姉ちゃん、子どもたちの気持ちを気遣うお母さんとおばあちゃん、それぞれの顔がとても印象的です。
『あひる』は、小学校で昔の生活について学んだ高学年の子どもたちに対して読むことが多いです。調べ学習などで学んだことを同年代の登場人物が経験しているのを見て、より身近に感じてもらえるようです。
ぜひ、皆さんも『あひる』を読んで、地元の風習や昔の日常を感じてみてください。
紹介した本は、まどかぴあ図書館でも借りられます。
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