大野城をあるく(屯水(とんすい))
更新日:2019年10月21日
(広報「大野城」 平成24年10月15日号掲載)
朝鮮式山城や神籠石(こうごいし)式山城といった古代山城では、谷部に築かれた石垣に城外へと水を排水する施設として暗渠(あんきょ)構造の水門がしばしば見られます。大野城跡では1カ所「屯水」と呼ばれる水門が確認されています。
「屯水」の位置
大野城跡の西側、毘沙門天地区の大城山山頂部から、土塁線に沿って北東に約100メートル下った谷部に位置します。険しい谷には2本の沢が刻まれ、出水口からは常に水が湧き出しています。
発見と発掘調査
大野城跡に暗渠構造の水門が存在することが知られたのは、昭和47年に大野城跡を襲った水害の後、九州歴史資料館により全山の踏査がされたときです。名称は字名をもとに付けられたといいます。その後、長く調査は行われていませんでしたが、平成15年7月の集中豪雨による大野城跡の災害からの復旧事業を平成17年に実施し、構造の一部が分かりました。
石垣および暗渠水門の構造
石垣は基底部幅が約8メートルで、人頭大か少し大きめの石が使われています。暗渠水門の水口部は幅50センチメートル、高さ40センチメートルの長方形で、非常に大きな石でしっかり組まれています。水門の底石は岩盤にのっており、谷の底に出水口があることが分かります。また、出水口内部の底石は50から80センチメートルごとに10から20センチメートルの段差のある階段状になっています。
石垣の排水処理
大野城内の石垣では、排水施設である水門は確認されていませんが、近年の調査により排水処理の方法が分かってきました。百間石垣、小石垣などの石垣では、石垣の基礎に砂や石の盛土や巨石による排水石組みを設けて、谷を流れる水や地下水を城外へと流れ出させる構造となっていると考えられます。
このような大野城跡の排水施設からは、古代の人々の優れた技術や苦労の一端を垣間見ることができます。
注:大野城跡へのアクセス方法は関連リンクを参照してください。
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